コラム

事例
2021.05.31

診断コンテンツから動画を紹介!ストレッチ系YouTuberの診断bot活用法

オガトレ 尾形 竜之介 氏
株式会社ギブリー 守屋 翔太 氏

ストレッチ系YouTubeチャンネル「オガトレ」では、LINE公式アカウントに診断コンテンツを実装し、ユーザー一人ひとりに合わせた最適な動画コンテンツを紹介しています。LINEマーケットプレイスの「診断bot」を活用したオガトレの取り組みについて、チャンネルを運営する尾形竜之介氏(以下、尾形氏)と、診断botの開発会社である株式会社ギブリーの守屋翔太氏(以下、守屋氏)に話を聞きました。

尾形 竜之介 氏
理学療法士として、病院勤務やトレーナー活動を経て、YouTuberになる。現在はYouTubeにてストレッチを発信しながら、さまざまな企業とタッグを組みストレッチの可能性を追求。ストレッチを楽しくわかりやすく伝えるため、YouTubeで動画を日々配信中。‬‪著書「オガトレの超・超・超かたい体が柔らかくなる30秒ストレッチ」も好評発売中。
株式会社ギブリー 守屋 翔太 氏
不動産系の事業会社にて、コールセンター長、マーケティングなどを経験。ギブリーに2018年2月にジョインし、オンライン接客プラットフォーム「SYNALIO(シナリオ)」のカスタマーサクセス、フィールドセールスを経験。その後「LIBERO(リベロ)」のカスタマーサクセス立ち上げや「診断Bot」のリリースに関わり、セミナー登壇実績も多数。

ストレッチ専門チャンネル「オガトレ」とは

2019年1月1日にスタートしたYouTubeチャンネル「オガトレ」は、理学療法士である尾形氏が運営する動画チャンネルです。チャンネル登録者数は2021年5月現在で約77万人、40代〜50代の女性を中心に、健康や自分の体に対して関心がある幅広い年代から人気を集めています。2020年12月からは動画配信と並行し、毎週のライブ配信と限定動画でより深くストレッチを学び、実践できるサブスクリプションサービス「オガトレ塾」をスタートさせました。

 

 

「オガトレ」では2020年の春に開設したLINE公式アカウントも運用していましたが、当初はYouTubeのチャンネル概要欄に友だち追加のURLを記載するくらいで、積極的な活用は行っていませんでした。そんな中、「オガトレ塾」のスタートに合わせ、YouTubeの視聴ユーザーに対し、LINE公式アカウントを活用してさらに踏み込んだコミュニケーションを取っていこうと考えるようになりました。

 

「LINE公式アカウントの活用を考えた時、まず『足りない機能を補う』という発想が浮かびました。当時、チャンネルの視聴者が最も悩んでいたのは、『自分に合うストレッチが何かわからない』ということなんです。今まではLIVE配信で直接答えていたのですが、LINE公式アカウントでも解決できると思いました。他のSNSも検討しましたが、チャンネル登録者数の多くを占める40~50代の女性が日常的に使用しているという点も、LINE公式アカウントを活用した理由の一つです」(尾形氏)

 

数多くの動画がアップされている「オガトレ」だが、視聴者にとっては「自分に合うストレッチが何かわからない」という課題を抱えていた

LINEマーケットプレイスで簡単に動画レコメンドを設計できる「診断bot」を導入

「自分に合うストレッチが何かわからない」という視聴者の悩みに対し、尾形氏はLINEマーケットプレイスで提供されている機能拡張「診断bot」を導入。LINE公式アカウントに診断コンテンツを実装し、LINEのトークルームで簡単な設問に回答することで、個々の悩みに合致した適切な動画をレコメンドする仕組みを実現しました。 「LINE公式アカウントの友だちに対してトークルーム上で質問を投げかけ、その回答結果を基に適切な提案を行います。こうした診断コンテンツは条件分岐の設計が重要ですが、診断botは特別な開発が不要で、直感的な操作だけで設計・構築が可能です」(守屋氏)

 

 

「診断bot」の操作イメージ。直感的な操作で分岐と回答結果が設計可能で、簡単にLINE公式アカウントに診断コンテンツを実装することができる。

 

「実は別の会社にも『LINE上で診断コンテンツを実装したい』と相談していたのですが、費用が高額な上、診断結果のデータを共有してほしいという条件を出されて悩んでいました。特にデータの共有に関しては、個人情報が含まれるため信用にも関わります。その点、診断botは価格でも優位性が高く、データの共有条件もありません。また、自分たちで診断コンテンツの設計・開発が簡単にできることも魅力に感じて導入を決めました」(尾形氏)

 

YouTubeのLIVE配信での実績を参考にしたこともあり、条件分岐の設計は1〜2日で終了。開発後の調整も含め、短期間での実装が実現できました。

 

「オガトレ」のLINE公式アカウント。リッチメニューに診断コンテンツの導線を設置(左)。トークルームで質問に答えていけば、それぞれに最適な動画を紹介してくれる

友だち数は急増、サブスク登録にも大きく貢献

「診断bot」の実装によって、LINE公式アカウントの友だち数や動画の再生回数、オガトレ塾の登録者数も増加しました。1日で1,000人以上も友だちが増加した日もあり、オガトレ塾の登録に関しても「間違いなく、診断botの相乗効果があったと考えている」と尾形氏。

 

「Webで無料のコンテンツやノウハウが簡単に取得できるようになり、多くのユーザーは有料サービスに手を出さなくなりました。無料でも、役に立たないと思えばすぐに削除し、閲覧をやめてしまいます。しかし、診断botは『無料で診断が受けられる』ことに加え、パーソナライズされた提案によってユーザーの満足度を向上させることができます。

 

コンテンツに触れたユーザーが価値を感じ、オガトレ塾に申し込むという流れもできました。今後は診断結果を基にユーザーのニーズを細かく把握し、動画制作の優先順位付や制作内容の参考材料として活用するほか、LINE公式アカウントの運用でも診断botでよりパーソナライズされたメッセージ配信を行っていきたいです」(尾形氏)

 

「診断botの上位版となる診断bot+を活用すれば、診断コンテンツの回答内容を“ユーザーラベル”としてLINEのユーザーIDに紐づけて管理・可視化できるだけなく、ユーザーラベルを用いて作成したセグメント別にメッセージを出し分けることが可能になる」と語る守屋氏も、尾形氏の取り組みを背景に今後の展望を語ります。

 

「さまざまな悩みを解消するための商品・サービスでは、数多くの選択肢の中から何を選べばいいのか分からず購入につながらないケースが散見されます。そこに『診断』という接客を取り入れることで、オガトレさんのようにユーザーニーズに寄り添った提案ができるようになり、興味を持ったお客さまの取りこぼしを防ぐことができます。LINEのプラットフォーム上でもそれを実現するため、今後も企業に対してさまざまな提案を行っていきたいです」(守屋氏)

 

(公開:2021年6月/取材・文:岩崎史絵)