コラム

事例
2021.07.12

月額売上100万円以上、リピート率7割超え!中華料理店がオーダー機能導入で残した成果

オーナー兼料理人 楠木 啓二郎 氏

大阪府寝屋川市に店舗を構える人気の中華・四川料理店「熊猫軒(パンダけん)」では、2019年からLINE公式アカウントを開設し、新メニューなどの紹介で来店促進を行ってきました。2020年6月には、コロナ禍における宅配需要の急増をきっかけにLINEマーケットプレイスの拡張機能「Lモバイルオーダー」のエンタープライズ版「Lテイクアウト&オーダー」を導入。業務効率化を図りながら、売上やリピート率増加を実現しました。

熊猫軒(パンダ軒)/パンダ食堂 オーナー兼料理人 楠木 啓二郎 氏

 

大阪府寝屋川市にある中華料理店「熊猫軒(パンダ軒)」を経営。中華料理・四川料理の名店を食べ歩き、研究を重ね、苦手な人でもその辛さが美味しいと感じる四川料理を提供している。毎週水曜日は「パンダ食堂」に屋号を変え、大衆食堂化したメニューで営業中。

LINE公式アカウントでファンとのつながり・囲い込みを強化

大阪府寝屋川市の香里園にある「熊猫軒(パンダけん)」は、地元客でにぎわう人気の中華料理店です。毎週水曜日には屋号を「パンダ食堂」に変え、親しみやすい大衆料理メニューを中心とした営業スタイルを展開しています。

看板メニューの一つ「麻婆豆腐」。「辛いものが苦手」という楠木氏が、中華料理や四川料理の名店に通って研究を重ねて開発したメニュー。麻婆豆腐を目当てに通うファンも多い

オーナー兼料理人の楠木啓二郎氏が、「パンダ食堂」のLINE公式アカウントを開設したのが2019年、もともとTwitterやInstagram、Facebookを運用していた中で、新規集客ではなく既存顧客に対する情報発信ツールとしてLINE公式アカウントの導入を決めました。

 

導入後、LINE公式アカウントで店舗のオススメメニューについて情報発信を行ったところ、「LINEを見て来ました」という来店客が増加。他のSNSと比較しても「LINE公式アカウントからのメッセージ配信はお客さまの反応スピードが早く、売上のコントロールも容易になった」と、その効果に驚いたといいます。

 

「以来、TwitterやInstagram、Facebookの投稿も、最終的にはLINE公式アカウントの友だち追加に誘導するようにしました。チラシやWebサイトでも、友だち追加のQRコードを入れています。それくらい、お客さまの反応はほかのどのメディアよりも圧倒的に高いと感じています」

ホームページ上では、全てのページのフッダー部分にLINE公式アカウントの友だち追加ボタンを設置

LINE公式アカウントから配信するメッセージは週2〜3回ほどで、内容は「挨拶」と「おすすめのメニューの紹介」が中心です。価格競争に参入したくないという意向からクーポンや割引キャンペーンは展開していませんが、メニューの作り方を公開しているYouTube動画へのリンクを貼ってメッセージを送ると、それだけで多くの人が来店するそうです。

 

結果、友だち数は1,500人を超える(2021年6月時点)までに成長し、タイムラインでも情報が拡散されて来店のきっかけになるなど、LINE公式アカウントを中心とした来店サイクルが実現しました。

「パンダ食堂」のLINE公式アカウント。プロフィール画面(左)では、ショップカードやテイクアウト、デリバリー/宅配などの情報を配置。メッセージ(右)は、動画や画像でのメニューやレシピ紹介を中心に配信している

デリバリーサービス事業者への登録ではなく、Lモバイルオーダーを選んだ理由

しかし、新型コロナウイルスの感染拡大で状況は一変。来店客数は大きく減少し、代わってテイクアウトや宅配へのニーズが高まりました。「パンダ食堂」でも10年ほど前から宅配を始めており、緊急事態宣言が明けた後には、店舗の感染対策を整えた上で宅配と店舗を並行して営業していました。

 

宅配は電話で注文受付を行うスタイルでしたが、店舗の混雑時や宅配注文が集中したりすると、電話を受けることが難しくなります。そこで、LINE公式アカウントを使って宅配受付ができるよう、宅配注文用のテンプレートメッセージを用意しました。

 

しかし、今度は「LINEで注文のためのテキストを打つのは時間がかかる」というユーザーの反応がありました。店舗側でも、受け付けた注文内容を伝票に転記する際、メニューや品数の打ち間違いが発生するなど、オペレーションや効率性の面で不具合が発生したそうです。結果、「せっかく宅配の注文があっても、全てに対応できないという状態でした」と楠木氏は振り返ります。

 

そこで出合ったのが、LINEマーケットプレイスで展開している店舗向け予約・オーダー機能を備えた「Lモバイルオーダー」のエンタープライズ版でした。

「当時、アプリやWebを使ったデリバリーサービス事業の利用者が急増していました。受付から配送までは事業者が行うため、店舗の負荷は軽減されますが、月額の登録料金に加え、注文金額の10%を手数料として事業者に払う必要があり、価格競争に陥りやすい。むしろ、その分をお客さまに還元するほうが、長い目で見ると絶対に効果的だと思いました。そこで、LINEで何か解決策はないかと調査を始めて見つけたのが、Lモバイルオーダーです。

 

使いやすさはもちろん、LINEとの連携機能が強固で、お客さまがメニューを見て直接オーダーできる点が非常に便利だと感じました。こちらが情報発信して、そこからすぐに注文につながるので、リピート率にも期待が持てました。何より手数料がかかりません。その分、料理の質を上げられると考えました」

LINE公式アカウントのリッチメニューに「テイクアウト/デリバリー注文」の導線を設置。タップしてトーク画面に表示される「メニューを開く」から、実際の注文画面に遷移する

注文受付ミスがゼロ、受付件数も増加し、LINE経由の月額売上が100万円以上

2020年6月、同店はLINE公式アカウントを活用したデリバリーサービスの本格運用を開始しました。宅配注文を確実に店舗スタッフに共有できるよう、LINE公式アカウントからの注文情報と、店舗スタッフのLINEグループを連携。ユーザーの注文内容などがLINEグループで共有されるため、注文の転記ミスや漏れがなくなりました。さらに、デリバリースタッフ用に、注文したユーザーの住所をLINEのトークにマップとして表示させています。こうした連携機能も、機能を開発する合同会社Oblivionのサポートによって実現しました。

 

結果、デリバリーサービスのリピート率は上昇し、「1度宅配注文した方の、7割くらいはリピーターになってくれます」と楠木氏は説明します。業務効率も改善され、対応できる件数は3倍以上になり、宅配だけで毎月の売上額は100万円以上になるといいます。また、LINE公式アカウントの友だち数も増加し、今ではチラシ広告を積極的に展開しなくても注文が入るようになりました。

 

「グルメサイトなどで評価されていて、地域に根付いているような飲食店であれば、デリバリーサービス事業に登録するより、LINE公式アカウントを勉強して使いこなすほうが、圧倒的に効果が高く、経営的にも合理的な選択だと思います。実際、LモバイルオーダーとLINE公式アカウントは合わせて月々数万円にも満たない利用料ですが、LINE経由の売上は100万円を超えていますから」

 

楠木氏は「パンダ食堂」だけでなく、「熊猫軒」でもLINE公式アカウントを開設しています。2020年末、このアカウントでおせち料理の注文を受け付けたところ、すぐに完売したという経験もあるそう。

 

「これからもLINE公式アカウントを活用し、お客さまに美味しい料理を提供していきたいと思います」

 

(公開:2021年7月、取材・文/岩崎史絵)